取材は1999年7月20日のものです。
現在、石橋シェフは瑞麟にはいらっしゃいません。

パレスホテル グアム「瑞麟」シェフ
石橋 修氏

ツーリストから地元の方まで大好評のランチスペシャル、「ラーメンフェア」の仕掛け人、パレスホテル グアム「瑞麟」の料理長である石橋 修さん。大人気のラーメンフェアを始めるまでの裏話をはじめ、中国料理に対する石橋シェフならではのこだわりをお伺いしました。

 

 それでは、まずは石橋シェフこだわりのメニューの一部を紹介しましょう。

鶏肉入りフカヒレつゆそば

フカヒレをふんだんに使ったフカヒレラーメンは、スープを塩味から白湯醤油味に変更し、シリーズ中最高の味と評判。ランチタイムには$11という良心的な値段で、この贅沢な味わいが楽しめます。ラーメンフェア開催以来、一番人気を誇っています。毎回吟味されるスープに対するこだわりと品の良いシンプルな盛りつけからも、石橋シェフの自信が感じられる一品です。

豚バラ煮込みつゆそば

厳選された中国香辛料を使い、じっくり時間をかけて煮込んだくせのない豚バラが口の中で溶ける極楽の味わいです。一緒に添えられたゆで卵もまた格別。白湯スープで仕上げたこのラーメンは、この夏、適度な食欲とスタミナをつけてくれる一品です。尚、今回のメニューには醤油味の牛バラ煮込みつゆそばもあります。
$11.00

鶏肉、胡瓜、胡麻味噌和えそば

夏といえばお馴染みの冷やし中華。「豚挽肉と中華味噌餡かけ冷やしそば」「五目冷やしそば」「鶏肉、胡瓜、胡麻味噌和えそば」と、バラエティーに富んだ3種類を今回メニューに加えました。こちらはその中のひとつ。柔らかな鶏肉と胡麻味噌のまろやかな味わいに、胡瓜の爽やかな歯ごたえが絶妙のコンビネーションです。
$9.50

春巻き

カラリと揚がった春巻きは、こちら「瑞麟」でも人気の点心のひとつ。味はもちろん保証付。お皿には、その日にホテルの庭で摘んだ花が添えられます。お客様をおもてなしするという真摯な心遣いを感じさせてくれます。
$5.00

 

石橋 修 (ISHIBASHI, Osamu)

調理師学校卒業後、結婚式場「八王子 ザ エルシー」に7年間勤務。その後「パレスホテル」に入社し、今年で11年目を迎える。「パレスホテル グアム」には1989年のオープン当時から「瑞麟」に携わる。1998年夏、ランチタイムにラーメンフェアーを企画し、グアムの中国料理界に旋風を巻き起こす。
常に新しいメニューを考えながら、余暇はゴルフを楽しむなど、充実したライフスタイル。中国料理に対する情熱と自信が伺える。

なぜ、ランチにラーメンを?
「ランチメニューを検討するにあたり、当初は定食を考えていました。しかしながら、他でやっていないこと、そしてなんと言っても私たち日本人はラーメン好きであることから、ラーメンを作ってみようと。それならば、パレスでしか食べられないラーメンを作ろうと決めました。」

メニューはどのように決められたのですか?
「おかげさまで現在定番メニューとなったフカヒレラーメンですが、これは当初からメニューに加えるつもりでした。
このフカヒレを目玉商品と決め、その他のメニューは今までの調理の経験をもとに、日本人のみならずローカルの方の舌にも合うよう作っていきました。
ただ、値段の設定には苦労しました。
はっきり言いますとフカヒレラーメンは儲けゼロなんです(笑)。フカヒレは高くて当たり前ですから、逆になるべく手頃な料金で楽しんでいただけるように努力しました。ちなみに今回のフカヒレラーメンの白湯醤油味のスープは、私が料理人となって初めて作った新しいスープなんです。」

今年の7月でちょうど1年になるラーメンフェアですが、4回目のメニューの変更にあたり、気をつけたことは?
「ABC分析というのがあるのですが、ランチスペシャルをご利用いただいたお客さまの嗜好を、オーダーされたメニューセットの数から分析していきました。お店に来てくださる方は、ツーリストはもちろん、旅行関係者など、いろいろな所で中国料理を召し上がっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。特に地元の方は何回も食べに来てくださるので、お客様に飽きのこないように、同じメニューでも味付けを変えたりするなどして、変化を持たせています。今回は特に夏ということで、新しく冷やし中華をメニューに加えてみました。」

世界中に様々な料理がありますが、どうして中国料理を選んだのでしょうか?
「寿司職人か中華か、料理人を志すにあたり2つの選択肢がありました。
中華を選んだ理由は、家族でよく食べに行ったことと、個人的に中華が一番おいしく感じることですね。入社当初は中国料理というものがこんなに奥が深いものとは知らなかったですね。パレスホテルに転職してから、中華の奥の深さ、面白さに気づきました。」

石橋シェフの中国料理は北京スタイルだそうですが、石橋シェフならではの特徴や、ここを楽しんで欲しいというポイントなどがありましたら教えてください。
「特徴としては、素材を活かして味を出すことを心掛けています。それには新鮮な素材の調達が第一となります。場所柄難しい面もあるのですが、できるだけ新鮮なものをお客様に提供していきたいです。
メニューには、味付けだけでも塩味、醤油味、オイスターソース等色々あるわけですが、それぞれの味をバラエティーに富んだオーダーで食べていただければ、よりいっそう美味しく感じると思います。」

これからシェフを目指す方に、アドバイスがありましたら是非!
「どんな料理でもそうだと思いますが、私が修行中の厨房にも、「切り場」「前菜」「そば」「鍋」というように各持ち場があります。この持ち場にはそれぞれ大切な意味があり、「切り場」から「前菜」、「前菜」から「そば」というふうに、一つの持ち場で一人前になっていくと次の持ち場へと昇進していきます。持ち場の人数は限られているので先輩は後輩達に抜かれないよう、後輩は次の持ち場に行けるように頑張ります。
先輩達は自分達が学んできたノウハウをそう簡単には教えてくれません。たとえば、鍋洗いを任されている時というのは、鍋を振る先輩の作った料理のスープがどのように味付けされているのかを自分で盗むことができる絶好のチャンスなのです。洗う前に残ったスープをなめて、自分で想像し、そして考えます。あえて盗ませてくださる先輩もいれば、わざと鍋を水を足して味を分からなくしてしまう先輩もいました。
誰もいない時に、一人でこっそり試してみたりしました。「何見てんだ?!」と言って油をチッとかけられたこともありましたよ(笑)。
何度も抜け出したい辞めたいと思いましたが、今言えることは、全ては一人前になるためにどれひとつ欠けてもならない大切なプロセスだということです。
ランチとディナーの間の休み時間などに、自分で何か(メニュー)を新しく生み出そうとする若い人が、最近少なくなってきたような気がします。ちょっと寂しいですよね、、、。」

『グアム ビジターズ バイブル』の読者の方に、メッセージをお願いします。
「ランチメニューをはじめ、夜のディナーセット、シェフ リコメンドなど、色々なメニューをご用意いたしております。
グアムにいらした際は、是非「瑞麟」にお立ちより下さい。
また予算に応じて特別メニューをアレンジさせていただきますので、日程が決まりましたら電子メールにてお知らせください。」

 

おすすめのデザートは、こちら!

ココナッツ プリン

まろやかなココナッツミルクを使用した上品なプリン。ヒンヤリとしたハニーデューメロンのシャーベットと、生クリームがアクセントになっています。トッピングとしてハニーデューメロンを選ぶまでに、十数種類の果物が試されたという、完成されたデザートです。
$5.00

 

桂花凍愛玉 (ケイファトンアイユイ)

石橋シェフが台湾を旅行された際、屋台でレモンジュースと一緒にいただくこのデザートに再会。以前は日本でも手に入った原料の愛玉(あいぎょく)が、現在日本の輸入規制で不可能になり、まさに幻のデザートと言われていました。この愛玉とキンモク酒入りジェリーが「瑞麟」で復活。石橋シェフが情熱をかけた、メニューには無い今回初公開のデザートです。
注文の際、「デザートに、桂花凍愛玉(ケイファトンアイユイ)をお願いします。」と伝えましょう。
$7.00

 

毎日欠かさず統計をとり、3ヶ月毎にメニューを替えるなど、こだわりもって中国料理を研究されている石橋シェフ。
インタビューが進むにつれてリラックスされたご様子で、修行時代のエピソードや失敗談などを気さくにお話してくださいました。

1999年7月20日
「瑞麟」にて

 

今回取材させていただいた「瑞麟」のランチメニューは、バラエティーに富んだ10種類。
$7~11 (ライス付) プラス$2.50でチャーハンに変更できます。

中国料理 瑞麟
「パレスホテルグアム」内 アトリウム1階 (月曜日定休)
営業時間 ランチ: 11:30~14:30 ディナー: 18:00~22:00

 

問い合わせ: palaceguam@gvb.com

パレスホテルグアムのホームページはこちらから

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