在ハガッニャ日本国総領事 廣川 孝
1999年10月
「Hafa Adai! ようこそグアムにお越しくださいました。心から歓迎します。」このような台詞がとてもよく似合う美しい常夏の島グアム。
グアム国際空港
私は昨年4月、在ハガッニャ日本国総領事として、このグアム島のアントニオ・B・ウォンパット国際空港に到着しました。飛行機から背広姿で降りたところで、出迎えのグアム政府職員から歓迎する旨の言葉とともに同伴の家内に、この島の伝統で歓迎する印のレイをかけてくれました。
グアム国際空港は南方特有の明るさや、時のゆったりと流れる中に、軽装の旅行者で賑わう心地よい雰囲気を醸し出していました。私と家内はその時点で、公務として目的地に着いた実感より観光旅行者と一緒に紺碧の美しい海岸線へ繰り出される錯覚に陥りましたが、自分自身の背広姿に気づき公務としての自覚に努めなければならないほどでした。
当地グアム島には年間約百万人の日本人観光客が訪れます。そんな訳で、島の玄関口グアム国際空港は日本に顔を向けていると言っても決して過言ではありません。日本とグアム島との間の直行便は、北は北海道から南は九州まで日本国内の8つの空港と直結し、臨時便を含めれば週100便程が運行されています。ところが、グアム島から米本土への直行便は運行されていません。米本土からの観光客は年間4万人弱程度で、当地グアムに訪れる観光客は全体の80パーセントを超える日本人によって占められています。
グアムはハワイより風光明媚?
今年の2月、外務省と在ホノルル日本国総領事館から用務で当地グアムに来ました職員は、「グアムは機上から眺めても、陸上から眺めても、何と美しい島でしょう。ハワイだってこんなに眺めのよいところは無い。海岸線に面したホテル街からの夜景は特に絶景である。」と異口同音感想を漏らしていました。後日、某ホテル総支配人に、「こんなすばらしい夜景はハワイには無いそうです。」と、この次第を伝えたところ、総支配人は大変ご満悦して、「総領事、それでは是非この美しいグアムを宣伝してください。」と頼まれてしまいました。さて、誰に、どこに宣伝してよいのか、立場上、はたと困ってしまいました。
そこである日、当地において会う機会の多いグアム政府知事に、私の知人がグアムはハワイより美しいと言っていますよ。と外交辞令を含め話したところ、同知事の反射的反応は、「なに!それは一体誰だ、それはハワイのスパイだ、回し者だ、ハワイはグアムにとって敵である。」という言葉が返って来て困惑してしまいました。しかし、これは本当の意味での敵ではなく、ハワイは太平洋における同じ米国領土内の観光地としてのよき競争相手であり、グアムにとって観光産業振興は死活問題であり、同知事の私に対する返しの言葉には、グアム島における観光事業が如何に重要か如実に物語っているものがあると言えましょう。
祭り
グアム島には年間を通じて大きな祭りが幾つかありますが、その内の一つにグアム観光局主催によるグアム・ビッグ・サマー・フェスティバルがあります。これはグアム政府・島民あげての近隣諸国・地域からの観光客誘致のための夏祭りです。期間中、ホテル中心街はきれいなイルミネーションで飾られ、明るく美しい南の島を更に魅惑的にしています。祭りの初日は島の中心辺りの海岸縁に祭りのための特設会場を設け、盛大な祭り行事が行われ、日本のみこしが繰り出し、近隣諸国の人達も民族衣装を凝らして大行列に参加するなど、深夜まで賑わいます。
この祭りの大きなねらいは、何と言っても日本人観光客誘致です。この日は、日本国総領事はVIPの一人としてグアム政府から特設会場に招待されます。本年はVIPのための特設会場で、今年のグアムを代表するミスに出迎えられ、ミスに囲まれて写真に収まることができ、これは、在ハガッニャ日本国総領事の役得かと気分を良くしました。もちろん、このような幸運に巡り合わせたのは、年間百万人の日本人観光客のお陰であるとの感謝の気持ちは決して忘れてはいません。
アイランド・ウェアー
総領事として、グアム国際空港に着いたときの背広姿は既に触れましたが、当地グアムに着任早々、知事はじめ、政府要人に表敬訪問するときも、当然、礼儀として背広を着装しました。他方、儀礼訪問先の政府要人は当地ではアイランド・ウェアーと称する半袖のリラックスした姿で応対し、それぞれの政府要人は皆、温和な姿勢で、開口一番、総領事はそんなにかしこまって背広を着て、暑くないですかと、簡単に言われてしまいました。その後、何回かのレセプションにも出席した折り、一部の領事団以外は皆軽装であったので、私は、やっと意を決して、当地の風土に合う柄のアイランド・ウェアーを数着購入し、知事公邸におけるレセプションにアイランド・ウェアー着装での軽装で臨みました。そこで、知事は「総領事、よく似合うよ、どこで求められたのだ。」と褒められました。その後、某国総領事からは、今晩のレセプションは軽装で出席するのかと、わざわざ当方へ事前確認してくるようになりました。郷に入っては郷に従え、一年を通じて、ネクタイ無しでの勤務は肩が張らず快適です。東京の真夏は当地グアムより暑いのではないでしょうか、省エネ対策からもアイランド・ウェアーとまでは言わないまでも猛暑の夏季中はノーネクタイの軽装をお勧めします。
グアムはよいところです。一度はお越し下さい。
|